バングラデシュの教育課程は、5年間の初等教育と、7年間の中等教育(前期中等3年、中期中等2年、後期中等2年)、高等教育(大学など)からなります。修了認定のための国家試験に合格することで、初等教育と中等教育の3つの課程を卒業していく制度なので、次の教育課程に進めない子どもたちもいます。初等教育は無償化されており、就学率は1990年には7割程度でしたが、現在ではほぼ100%を達成しています。しかし、修了率は85%で、前期中等学校に進学する子どもたちの割合は70%にとどまります。ジェンダー格差に関しては、成人識字率が、1991年の男性44%、女性25%から、2023年には男性が74%、女性が73%と改善しました。さらに、女子の奨学金支援を拡充した結果、初等および中等就学率と修了率は、2011年以降女子が男子を上回っています。
一方で、高等教育以降の男女格差は、課題として残されています。
政府は女子や障がいのある生徒に配慮した指標を設定し、「2030年までに、初等教育と前期中等教育における修了率100%」を目指しており、「誰一人取り残さない」というSDGsの達成が期待されています。
初等教育支援
ACEFはBDPと共にプレスクール(就学前教室)、ノンフォーマル小学校(1年~5年)を建設し運営しています。ノンフォーマル学校とは公立学校が不在の地域でNGO等の民間団体が設立運営している学校です。かつては寺子屋学校と呼んでいましたが、青空教室から草屋根・竹壁の教室、レンガ造りの校舎に建替えていき、現在は6地区に30校で約2,900名余りの生徒が学んでいます。
中等教育支援
ACEFは1992年から奨学金プログラムを開始し、1996年に初のBDP小学校の卒業生を生み出したのをきっかけに、優秀でも経済的困難なために中学に進学できない卒業生のための奨学金プログラムを始めました。2011年に一旦プログラムは停止され、現在は別の日本のNGOの支援を受けてBDPがスポンサープログラムを継続しています。
障がい児教育支援
マラカール女史が国際NGOワールドコンサーンのプログラムとしてはじめた聴覚障がい児学校(HEARプロジェクト)が2020年に終了することとなり、学校継続のためBDPに移管され、現在は別の日本のNGOの支援を受けて実施しています。
(2021年度)
学校数 | 教師数 | 生徒数 | |
プレスクール | 30校 | 123名 | 803名 |
ノンフォーマル小学校 | 2,106名 | ||
合計 | 30校 | 123名 | 2,909名 |
奨学金受給学生(中学生) | 35名 | ||
職業訓練学校 | 2校 | 4名 | 135名 |
聴覚障がい児学校(ヒアプロジェクト) | 4校 | 10名 | 58名 |
教師研修
BDP小学校での教育の質の向上のため、BDPは定期的に教師研修を実施しています。ACEFは教師研修にも資金協力し、また丹羽メモリアル教師研修センターを2019年10月に開設しました。