ノヨンくんのような問題を解決するのは私たちには難しいですが、ノヨンくんのように学校を諦めなければならない子どもがいるということを、想い続けることはとても大切だと思うのです。BDP小学校が始まった時に、それまで学校に一度も行ったことがない人も一緒に学ぶことができましたが、少し大きくなった子どもは1年生に入るのが恥ずかしくて、田んぼで働き続けました。一生読み書きができないまま大人になっていくのかと思うと寂しい気がしました。しかし数年後、BDPでは職業訓練校が始まり、その子は電気科に入り電気の仕事を身につけ、新しい仕事を得ることができました。同じ村にいた少し軽度の知的障害のある子どもも、BDP小学校に入りました。毎年進級試験に合格しなければ上の学年に進級できないので、同じ学年を2年も3年も繰り返したりしましたが、その後職業訓練校で電気科に入り電気配線の仕事ができるようになりました。その時びっくりしたのは、村の人たちが自分の子どものようにとても喜んでくれたことです。
誰一人取り残さない教育というのは、遅れている子ども、できないと見られる子どもも、一緒に学びを続けるチャンスが与えられることだと思っています。親の都合で学校をやめざるを得ない子どもも、まだまだいますが、BDP小学校で学んだという経験は、その後の人生に何らかの影響を与えるものと思っています。
SDGsの問題は一挙に解決できるものではありませんが、私たちは一つずつ小さなことを思い続けていくことが重要だと思っています。困った問題に対して何かアイデアが浮かんだり、ヒントを見出したりしたら、誰かに話してシェアしていくことが一番大切なことだと思います。
今回のACEF-Youthの方々が良い企画をして、何度も皆で話し合い、学び合い、イベントへと広げて多くの方々に発信をしてくださったことは、大きな一歩です。どうかノヨンくんのような子どもがいることを、心の中に想い続けて下さることを願っています。